介護老人保健施設入所者の運動回数調整とビタミン D 摂取は転倒抑制効果がある
【O-0155:介護老人保健施設入所者の運動回数調整とビタミン D 摂取は転倒抑制効果がある:今岡真和、第50回日本理学療法学術大会(東京)、2015.】
<対象>
・老健施設入所者91名(女性68名:平均年齢84.8±8.8歳)。
<方法>
・介入期間:3カ月間
・転倒の観察期間:6カ月間。
1)コントロール群:23名
・短期集中リハビリテーションの運動回数週3回以上+運動介入週3回。
2)減少群:運動回数減少22名
・通常の個別リハビリテーション週2回。
・他群と比べ週20分程度の個別介入時間が少ない。
3)栄養群:23名
・ビタミンD800IU/day以上を経口摂取。
4)複合介入群:減少群+栄養群23名。
<結果>
・6ヶ月の追跡調査が出来たのは91名中75名
・コントロール群17名、減少群22名、栄養群17名、複合介入群19名。
①25ヒドロキシビタミンD(25-OHD)
・コントロール群:14.0±6.1ng/ml→11.3±4.4ng/ml
・栄養群 :12.5±4.0ng/ml→36.3±4.8ng/ml
・複合介入群 :12.3±3.8ng/ml→36.3±11.2ng/ml
②転倒発生
・コントロール群:8名(47.0%)
・減少群 :5名(22.3%)
・栄養群 :6名(35.3%)
・複合介入群 :2名(10.5%)
※複合介入群はコントロール群と比較して有意に転倒抑制効果が認められた。
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ビタミンDと転倒には関係があるようです。
・転倒経験者では、血清25-OHD濃度(ビタミンD)が低値(1999-Stein)。
ビタミンDは、重心動揺を減らす?
・ビタミンD受容体に作用して、筋と神経の協調性を高め、重心動揺を減らす方向に働くのではないか(2004-Bischoff)。
ビタミンD不足は、
・骨格筋の萎縮や筋力の低下に関与し、転倒のリスクが高まる。
ビタミンDの多く含まれる食品は、
・魚類、レバー、干ししいたけ。
ビタミンDの過剰摂取(50ug/日)のリスク
・高カルシウム血症、腎臓障害、軟組織の石灰化、成長障害、筋緊張低下、嘔気、食欲不振、腹痛、便秘、下痢(2008-田口)103)。
その他
・アルツハイマー患者も、25-OHDが低値(1998-Sato)。
・インフルエンザの予防に有効。
参考文献
宗圓聰:骨粗鬆症の治療、(3)、2008.
- 佐久間真由美:骨粗鬆症の疫学-発生頻度-骨折発生率とその特徴、臨床スポーツ医学25(3)、2008.
田口素子:適切な栄養摂取の必要性、臨床スポーツ医学25(臨)、2008.