.肩関節外転に伴う三角筋後部の位置変化と内旋・水平内転可動域制限の関連性
【O-0248:肩関節外転に伴う三角筋後部の位置変化と内旋・水平内転可動域制限の関連性、坂雅之、第50回日本理学療法学術大会(東京)、2015.】
<対象者>
・肩関節内旋、水平内転可動域制限を有する成人男性10名。
・除外基準:肩関節に手術歴を有する者、MRI撮影が禁忌となる者、MRI撮影肢位をとれない者。
<方法>
・肩関節外転位のMRI 画像より作成した三角筋後部の3次元モデルを分析し、内旋・水平内転制限との関連性を調査。
<結果:上腕骨頭中心・三角筋後部下端距離>
・外転 45°:58.9±15.7mm
・外転 90°:30.9±18.4mm
・外転135°: 6.9± 9.7mm
・外転に伴い上腕骨に対して三角筋後部が上方に移動。
・相関分析の結果、上腕骨頭中心-三角筋後部下端距離と、内旋・水平内転可動域には有意な相関は認められなかった。
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三角筋後部は、内旋・水平内転の制限因子としての影響は少ないようです。
その他、90°外転位での内旋(2nd)の制限因子としては、以下のものが挙げられています。
・棘下筋、小円筋、烏口腕筋、後方関節包、PIGHL、肩峰下滑液包。
肩の制限因子は、肩甲帯の動きも入るので判別が難しい。
肩甲帯を止めればいいかというと、非生理的な動きとなることで筋緊張が変化したり、防御的な収縮も入り、制限因子がかえって不鮮明になる気がする。
肩甲帯を正常な運動に誘導すればとなるが、正常な運動も明確でないし、個人差も大きく、本当に正しい動きなのかわからない。
試行錯誤しながら進め、よしこれだ!と思ったのにあまり変わらなかったり、よくわからず触っていたらすごく良くなったりと・・・(もちろん当てはまったと思われる時もあるのですが・・・)。
参考文献
・高濱照:肩関節疾患に対する理学療法、理学療法学40(4)、2013
・高浜照:肩関節疾患に対する理学療法、第47回全国学術研修大会、2012
・泉水朝貴:未固定標本による肩関節後方関節包の伸張肢位の検討、理学療法学35(7)、2008.
・林典雄:関節拘縮の機能解剖学的特性、理学療法21(2)、2004.
・高浜照:肩の機能解剖と触診のポイント、理学療法学30(4)2003.
・岩掘祐介:整形外科からみた痛みのリハビリテーション