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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「代替医療解剖(代替医療のトリック)」より

代替医療解剖」より


以前に読んだ「代替医療のトリック」みたな内容だなと思ったら、その文庫版でした。

なんで題名変わってんの!

しかたないので、そのまま再読しました。

主に、「鍼治療」、「ホメオパシー」、「カイロプラクティック」、「ハーブ療法」の効果について検討されています。巻末には、様々な代替医療について簡潔に記されています。


現在の科学的検証から得られた結論としては、


1)鍼治療

 コクラン共同計画の系統的レビューによると、いくつかのタイプの痛みや吐き気について、質の高い臨床試験では、有効性を示すものとそうでないものがあり、科学的根拠には一貫性や説得力がなく、どちらともいいかねる。質の高い系統的レビューでは、プラセボを上回る効果がないことが示された。


2)ホメオパシー

 メタ・アナリシスでは、ホメオパシーの臨床効果は肯定的な結果は得られたが、その程度は余りにも小さく、プラセボ効果であるという考えと両立すると報告。

 結論としては、ホメオパシーを支持するような有意ないし説得力ある科学的根拠は得られていないが、効果がないことを示す科学的根拠は多数あり、プラセボ効果にすぎない。

 現代科学では、「類が類を治療する」と考えるだけの理由がないこと、超高度希釈の溶液がどうすれば人体に影響を及ぼせるのかということ、「生命力」なるものが存在するという考えを支持する証拠もないことから、ホメオパシーを理解するのは難しい。


3)カイロプラクティック

 科学的根拠からすると、腰痛に限っては、カイロプラクターにかかる価値があることが示唆される。しかし、その場合にも用心するに越したことはない。頚部の施術は危険。


ということで、科学的根拠の立場からは、代替医療の効果はプラセボ効果によるものとされ、あまり好意的には書かれていません。 


また、引用されていたDylan Evans「Placeboでは、もう少し厳しく書かれているようです。


1)鍼治療

 この治療法については、いくつかのタイプの痛みや吐き気には効果があるという、わずかな科学的根拠が得られているのみです。それらの症状に効いた場合も、効き目は長く続かず、非常に小さなものとなるでしょう。通常医療の治療に比べて費用がかかり、効果は小さいとみてまず間違いありません。この治療法の主な効果はおそらく、痛みや吐き気に対するプラセボ効果でしょう。それ以外のすべての病気に対して、鍼にはプラセボを上回る効果はありません。鍼は、訓練を受けた施療者に打ってもらえば、かなり安全な治療法といえます。


2)ホメオパシー

 この製品にはプラセボ効果しかありません。ホメオパシーを信じていて、症状が痛みや抑鬱などである人にのみ効果があります。その場合でも、通常医療の薬のような効果は得られないでしょう。通常医療の薬よりも副作用は起こりにくいですが、効果も少ないでしょう。


3)カイロプラクティック

 この治療法は、首に脊椎マニピュレーションが行われた場合、脳卒中を起こし死亡する危険性があります。それ以外の背骨に対して行われるなら、カイロプラクティックは比較的安全です。腰痛に効果があるという多少の科学的根拠がありますが、たいていは通常医療の治療にも同等の効果があり、料金ははるかに安くすみます。他のすべての病気に対し、カイロプラクティックにはプラセボを上回る効果はありません。

 


個人的には、どの治療がどうこうということはありません。

慢性腰痛を例にすれば、理学療法においても、運動療法などの効果が認められるが、その内容などは明確になっていないくらいのものです。


実際、本当に何が効果があるのかは、はっきりしていないの現状。

それでも、大事なのは
科学的検証をして真実を探求する姿勢があるかです。

治療者側には、安全で本当に効果があるものを提供していく義務があります。

「科学と意見という、二つのものがある。前者は知識を生み、後者は無知を生む」 ヒポクラテス


「真実はそこにあるー作られるものはただ偽りのみ」 ジョルジュ・ブラック


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