popliteus mのブログ

整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

膝伸展筋力トレーニングが高齢者の膝関節滑液量に及ぼす影響

【O-0285: 膝伸展筋力トレーニングが高齢者の膝関節滑液量に及ぼす影響、小栢進也、第50回日本理学療法学術大会、2015.】


<はじめに>

・高齢者を対象として膝伸展筋力トレーニングを実施し、膝蓋上嚢の厚さの変化を調べた。 


<対象-方法>

・60歳以上の地域在住高齢者122名。

・関節浮腫のスクリーニング検査にて膝蓋上嚢に1mm以上の肥厚が認められた方。

・除外者:膝窩部の浮腫のある者ほか。

1)トレーニング群22名(男性10名、女性12名、年齢74.0±6.8歳)

・セラバンドを用いた膝伸展抵抗運動10回3セット、週4回2か月間実施。

2)コントロール群18名(男性6名、女性12名、74.1±5.8 歳)


<結果:トレーニング群/コントロール群>

1)膝蓋上嚢の厚さ(mm)

・内側部:3.5±1.7→2.8±1.5/4.1±1.5→4.2±1.4

・外側部:4.0±2.3→3.4±1.7/4.5±1.8→4.7±1.8

2)膝伸展筋力

・トレーニング群で筋力が向上。

3)歩行速度

・有意差なし。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


膝関節や膝周囲の腫れを改善するために、大腿四頭筋の運動(非荷重位)を行うことはよくありますし、効果も高いと感じています。


大腿四頭筋の筋ポンプ作用や関節運動により循環動体に影響を与えているためだと考えられていますが、いまひとつよくわかりません。


膝関節の腫れの要因は、関節内の不純物(軟骨片など)や炎症などとされています。


大腿四頭筋の運動により、関節内不純物の除去や炎症の改善が生じるのか?


慢性炎症に対しては、運動が炎症性サイトカインの発現を減少させるなどして、局所組織の慢性炎症状態を抑制するとの報告もあり、腫れに効果があるかもしれません。


そもそも、膝関節の腫れの要因が他にあり、その要因にたいして大腿四頭筋の運動が効果を示しているのかもしれません。


安全で効果あるので行っていますが、実際わからないことばかりです。


参考文献

市橋則明:変形性膝関節症に対する筋力トレーニング、:MB Med Reha32、2003.

宮口正継:変形性膝関節症に対する筋力強化訓練とその効果、MB Med Reha32、2003.

川西範明:免疫の変動に注目した運動による慢性炎症の改善