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経済教室よりまとめ 「日本の経済政策への提言 名目賃金、5-10%上げを」

経済教室 日本の経済政策への提言 名目賃金、5-10%上げを

A・ポーゼン、O・ブランシャール 2015年12月15日


<日本はさらなるインフレが必要>

・公的債務は純債務残高でみてもGDP比140%で、持続不能な事態を引き起こしかねない。

・日本国債の暴落が避けられているのは、金融抑圧、日本人投資家のホームバイアス、円という日銀に印刷可能な通貨での国債発行という条件が重なったためで、永遠に続くはずがない。


<なぜ、インフレが財政問題の解決になるのか?>

・インフレと低い名目金利の組み合わせで実質金利がマイナスとなるため債務は目減りする。

国債保有者はインフレの直接の代償を払わされる。

・しかし、過去20年間のデフレで国債保有者に移転された累計GDP比15-20%相当額の一部が日本の納税者と債務者に返されることになる。


<提案>

・政府主導で、福利厚生を含めた名目賃金を5-10%引き上げることが最善。

・日本の企業は賃上げによる利益還元をしていないため、政府は賃上げを促すため以下を講じるべき

1)予定されている法人税減税の国会審議を、企業が賃上げを実施するまで中止する

2)公的部門の名目賃金を引き上げ、優秀な人材の争奪戦を通じ民間の賃金上振れに圧力をかける

3)最低賃金のほか、公共事業や規制部門など政府が管理する賃金を5%以上引き上げる

4)政府が発注する業務の賃金を物価スライド制として、広範囲にこれを適用する法案を国会に提出する

・これは企業から労働者への再分配ではなく、経営者や価格決定者にコスト増加分を賃金から販売価格に転嫁し、利益を確保することが重要。


<日銀は?>

・上昇サイクル開始から3年間は量的緩和などの継続の宣言とインフレに伴う円安を容認する。

・2%のインフレ目標をもう少し高く設定する。

・物価水準が10%上昇すれば純債務のGDP比は16%下がる。


<インフレ率が上昇すれば名目金利も上がるのはないか?>

・インフレ率が上昇する数年間、日銀が名目金利を低水準に据え置けない理由はなにもない。


<インフレは無痛万能の治療薬ではない>

1)総需要の冷え込み
・インフレによる通貨や債務の実質価値の減少(インフレ税)により生じる。

・しかし、標準的な政策と比べ短期的には二桁小さい。

・歳出削減で債務を同じだけ減らそうとすると、政府はGDP比で11%以上の支出を減らす必要があり、成長を大幅に減速させ、かえって財政収支を悪化させる。

2)インフレスパイラル

・インフレスパイラルにつながる可能性は低く、万一そうなっても日本にとっては幸運というべき。

・いずれにせよ日銀は容易にスパイラルを食い止められる。


<結論>

・全面的な賃金引き上げにより、まずある程度高めのインフレを生じさせよ。

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それぞれを判断する知識を持ち合わせていないので正確なところはわかりませんが、利益分から賃金引き上げを設定するのではなく、賃金引き上げ分を転嫁させて価格を設定せよということなんですね。

逆回転させるには初めは大きなエネルギーが必要ですね。