.第24回 よこはまスポーツ整形外科フォーラム②
3)半月板温存手術
縫合術および再生により可能な限り半月板を残存させ、変形性膝関節症への移行や進行を食い止める。
①Centralization法
・半月板の外方への逸脱はhoop機能の破綻を意味し、変形性関節症の進行や膝痛と相関。
・半月板切除後や円板状半月板により生じる逸脱には有効な手術法はなかったが、逸脱した半月板を内方化させる鏡視下Centralization法を開発。
・30例(男性17、女性13:平均年齢28歳)では、1年後の逸脱の整復は維持され、外側関節列隙の大きさの改善と良好な成績。
②滑膜幹細胞移植による半月板再生
・滑膜由来の間葉系幹細胞は軟骨再生能に優れており、滑膜幹細胞移植により良好な半月板再生が得られる。
・半月板縫合術の治癒促進、半月板の逸脱に伴う軟骨欠損に対して滑膜幹細胞移植。
・半月板縫合術+滑膜幹細胞移植により、半月板のサイズ増大。
Centralization法+再生術による膝OAの減少に期待が持てそうです。
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4)反復性肩関節脱臼
・反復性肩関節脱臼は、前下方の関節唇剥離(Bankart病変)と下関節上腕靭帯(IGHL)の緩みが主病態。
①Bankart法
・IGHLを再緊張させながらBankart病変を関節窩に再縫着する。
・再脱臼のリスクが高い関節窩骨欠損の大きい症例やコンタクトスポーツでは、腱板疎部縫合術やRemplissage法を補強術として追加して制動力を高める。
②Bristow変法
・共同腱付着部の腱性部分によるIGHL-関節唇複合体の再建を意図。
・ラグビー選手68例74肩では、全例スポーツ復帰、公式戦復帰術後平均5ヶ月、再脱臼0、外旋可動域患健差は下垂位6.1°、90°外転位4.7°。
Bankart法は、解剖学的、機能的にできる限り元の状態に近づける。
Bristow変法は、解剖学的や機能的な変化はやや生じるが、再脱臼を防ぐというコンセプトになるかと思います。
ラグビーなど再脱臼率の高いコンタクトスポーツではBristow変法、再脱臼の可能性が低い場合にはBankart法ですかね。