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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

運動負荷は損傷した軟骨下骨を治癒させ変形性膝関節症の進行予防に寄与する

【O-0813:運動負荷は損傷した軟骨下骨を治癒させ変形性膝関節症の進行予防に寄与する、飯島弘貴、第50回日本理学療法学術大会(東京)、2015.】

 

<方法>
・12週齢のWistar系雄性ラット24 匹に対して、内側半月板の脛骨半月靭帯を切離する内側半月板不安定性モデルを作成。

・脛骨半月靭帯の切離は右膝関節のみに行い、左膝関節に対しては偽手術を施行し、対照群とした。

・OA群(n=8):術後8週間に渡り自然飼育を行うことでOAを発症-進行させる群。

・運動群(n=8):術後4週時点からトレッドミル歩行(12m/分、30分/日、5日/週)を行う群。

・介入前群(n=8):術後4 週まで飼育する群。

 

<結果>

1)脛骨内側関節面の軟骨下骨嚢胞

・運動群では最大嚢胞径が縮小:介入前-OA群よりも有意に低値。

・軟骨下骨嚢胞内にTRAP陽性破骨細胞が多数観察され、直上の関節軟骨が嚢胞内に落ち込む所見→介入前群30%、OA群ではその後悪化し80%で確認。運動群では0%。

2)骨細胞壊死

・介入前-OA群では多数の骨細胞死が観察されたが、運動群では軽度。

3)軟骨下骨損傷度

・運動群では、介入前-OA群よりも有意に低値。

4)軟骨変性重症度

・運動群で最も低値を示し、軟骨下骨損傷との間に強い相関を認めた。 

 

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ラットなのでOA群でも比較的動いてることが予測されます。

 

ですので、通常の日常生活に、ある程度の運動負荷を加えるくらいのほうが経過が良好になるようです。

 

実際、経過が不良の例では、過度の安静やかばい動作が問題になっていることが多いように思えます。

 

ある程度の痛みは許容して、動かしていくことが必要になるかもしれませんが、痛みに過敏な方や痛みの経験が乏しい方などは、なかなか難しいようです。

 

子供のころに転げ回っておくことが必要ですね。