.糖尿病性ニューロパチーは錐体路を標的にする
【O-DM-02-1 糖尿病性ニューロパチーは錐体路を標的にする、村松憲、第51回日本理学療法学術大会、2016.】
<方法>
・Wistar系ラット24匹(雄,13週齢)。
:1型糖尿病群:12匹
:対照群:12匹。
<結果:1型糖尿病群/対照群>
1)頸髄に投射する錐体路細胞(個/切片):約280/約300、両群間に有意差なし。
2)腰髄に投射する錐体路細胞(個/切片):約150/約230、有意差あり。
<結論>
・細胞の減少は腰髄に投射をする錐体路細胞に限局して観察されたが、これはDNが長い軸索を有する神経細胞を標的にするためであると考えられる。
・錐体路細胞の減少は3割程度に留まっているため、錐体路症状は痙性麻痺ではなく,筋力低下として出現することが予想される。
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糖尿病による錐体路障害の可能性が示唆されています。
<糖尿病:筋力低下>
・高齢2型DM患者では、非DM患者と比べて下肢筋力と筋肉量の低下速度が急速(Park-2007) 。
・筋肉量に対する筋力発揮が弱い(Park-2006)。
・2型患者でも、健常者と比べ下肢筋力の低下を認める(野村-2006)。
・末梢で有意に筋力が低下、神経障害の合併により筋力低下は顕著となる(Andersen-2004)。
・Ct群に比べて、膝関節屈曲筋力で14%、足関節底屈筋力で17%、足関節背屈筋力で14%低下(Andersen-2004)。
なんにせよ、ならないことが大切です。
<糖尿病:リスク因子>
1)肥満:危険度1.5-5倍。
2)歩行
・2時間以上の人に比べ30分未満の人は1.23倍高い。
・30分以上2時間未満の人とはリスクの差が明らかでない(国立がんセンター-2015)。
3)喫煙
・糖尿病44%(20本以上では61%)。
4)身体不活動
・座位などの身体不活動の時間と、死亡率、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、肥満症、心血管系疾患などの発症リスクとの間には関連がある。
参考文献
・大平雅美:糖尿病 理学療法診断ガイドライン、理学療法学43(3)、2016
・中谷一泰:ストップ!認知症―しくみがわかれば予防ができる!、2014
・平木幸治:糖尿病を合併した急性心筋梗塞患者の運動耐容能低下の関連因子、理学療法学38(5)、2011.