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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.軽症から中等度までのパーキンソン病患者におけるバランス障害の関連因子の検討

近藤美緒:軽症から中等度までのパーキンソン病患者におけるバランス障害の関連因子の検討、理学療法学44(1)、2017

 

<対象>

パーキンソン病患者43例中32例(男性21名、女性11名、平均年齢68.2±10.6歳)。

・修正版Hoehn&Yahr重症度分類(mH&Y stage)の3以下。

・除外基準:歩行困難な者、検査測定の指示に従うことが困難な者。

 

<結果>

1)Berg Balance Scale(BBS):平均51.2±4.6点

2)Mini-Mental State Examination(MMSE):27.2±1.9点

3)UPDRS:20.9±10.0点

 

①BBSと中等度の有意な相関
・年齢、握力、病状優位側等尺性膝伸展筋力、病状非優位側等尺性膝伸展筋力。

②BBSの総得点を従属変数とした重回帰分析

・独立変数として握力、UPDRSの姿勢異常が抽出。

 

パーキンソン病のBBSには、握力と姿勢異常が関連することが示された。

 

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1)BBS:動的バランス検査。

・0~56点で、高得点ほど良好な機能。

パーキンソン病患者の平均は46-49点(Brusse-12005、Lauhoff-2013)。

・転倒予測のカットオフ値は47点:感度72%、特異度75%(Leddy-2011)

2)MMSE:認知機能検査。

・30点満点中23点以下を認知症疑い(Folstein-1998)

3)UPDRS:パーキンソン病の帰結評価指標

・partⅠ(精神機能、気分および行動)

・partⅡ(日常生活動作

・partⅢ(運動機能検査)

・partⅣ(治療の合併症)

 

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パーキンソン病に限らず、バランスの問題は筋骨格系、知覚系、神経系、前庭系、姿勢などが複雑にからみあって起こっているのだと考えられ、原因や問題点がクリアになりにくため、アプローチもやや曖昧になってしまいます。

 

しかし、それでも、進行性の病態がなければ運動の実施で改善が見られるので、安全を確保しながら少しずつ運動を行うのいいのでしょう。

 

今のところ、パーキンソン病、バランス障害ともに、これだ!というアプローチはなかなかなく、試行錯誤しながらやっていくしかなさそうです。