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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.第10回運動機能勉強会 ~「肩関節脱臼」~

3月9日は、久しぶりに菅谷先生の話が聞ける機会があったので、第10回運動機能勉強会 ~「肩関節脱臼」~ に参加してきました。

普段、肩関節脱臼はほとんど診ませんが、術式や術後の経過などは理解しておいたほうが、患者さんの説明に幅がもてます。

また、解剖学的な内容は、他の疾患にも応用できるため、参考になりました。

 

 

1)コリジョンコンタクトアスリートに対する鏡視下バンカートブリスト―変法の小経験:清泉クリニック整形外科 東京荻窪 院長 加藤敦夫 先生

 

・鏡視下バンカートのスポーツ復帰を9ヶ月に設定→一次損傷ではなく、陳旧性に近い病態。6ヶ月だと練習が間に合わない。

 :再断裂率は、コリジョンスポーツ5.7%(4/70肩)、ノンコリジョン5%(1/20肩)

 

しかし、

6ヶ月で復帰している病院が多く、その時点で、選手は困っておらず、徒手検査での不安定性もなく、MRI初見も問題ない。

だが、

6ヶ月の復帰だと、再断裂率は、コリジョン7.24%(5/29肩)、ノンコリジョン0%(0/9肩)とコリジョンスポーツではやや増加してしまう。

 

早期復帰が必要、骨損傷が大きい、再断裂例などは、Open  Bristow法を追加。

再断裂率は、コリジョンスポーツ0%(0/9肩)。

メリット :スポーツ復帰4ヶ月、再断裂少ない。

デメリット:外旋制限、解剖的な変化による二次的な影響、神経損傷(筋皮N、腕神経叢)のリスク。

 

2)競技復帰に向けた肩関節脱臼オペ後のリハビリテーション日本大学病院 理学療法士 富樫俊文 先生

 

・チェック項目としては、烏口突起の長軸とscrewのズレの角度、関節窩の関節面に対する烏口突起の投入角度など。

腋窩N麻痺の合併症→経過とともに改善。

 

3)外傷性肩関節不安定症に対する治療戦略:船橋整形外科・スポーツ医学・関節センター長 菅谷啓之 先生

 

・鏡視下soft tissue Bankart法について

・軟部組織をしっかり修復することが、固有感覚の機能を高め、機能的な安定性をもたらす。

・RI closure:外旋位で行うため外旋制限は生じない。

・Hill sachs remplissage:再脱臼リスクの高い若年症例に実施。他では外旋が制限されやすい。