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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.自分の足関節痛を考察

主訴:右足首の痛み

・熱感(-)、腫れ(-)

・誘因不明

・痛み

→朝起きて歩き始めたら痛み。

→部位は距腿関節から距骨下関節付近で明確ではない

→歩行時痛:踵接地から立脚中期にかけて痛み。歩き始めが特に痛いわけではない。長く歩いても増悪することはない。

 

1)関節性?

【主観的な痛みの感覚としては、関節のつまり感】

・変形性足関節症? 距腿関節や距骨下関節の問題?

・モビライゼーションと底背屈の自動運動

①距腿関節→離開、距骨の後方すべり

②距骨下関節→離開、回内外

③足関節の自動底背屈運動

変化なし→関節性ではなさそう

足底部が硬くなっていることに気づく(左右差あり)。

右の足底筋膜の過緊張?

 

2)足底筋膜性?

・足底筋膜の過緊張による

①距骨下関節の関節運動異常(関節性)

②筋筋膜性:足底筋膜の筋痛?関連痛?

 →痛みの部位(足関節)から考えられるトリガーは腓骨筋群→再現なし。

 →足底筋膜周辺から考えられる痛みの部位は踵部。

 

【歩行再評価】

・踵接地(heel rocker)から立脚中期(Ankle Rocker)までの間に痛み。

・つま先接地の歩行では痛みが生じない→足底筋膜の過緊張が要因であれば、つま先接地で緊張が高まり痛みが惹起されるはず→足底筋膜性でもなさそう

 ↓

・足底筋膜でないとすると、歩行時痛のフェーズや過緊張部位などから足趾屈筋の収縮(短縮)が痛みの因子?

  ↓

MMTのような単独収縮では痛みの再現は得られず

  ↓

・歩行の関節運動(底背屈の切り替わり)や荷重の影響も考えられるため除外はできない。

 

【そして、誘因が思い当たる】

・痛みの出る2日前に、HIIT トレーニングをし、その中にマウンテンクライマーというエクササイズがあり、そこで過剰に足趾屈曲。

・やはり足趾屈筋が怪しい。

 

3)足趾屈筋性?

【足趾屈筋】 短趾屈筋、短母趾屈筋、足底方形筋、母趾外転筋、長母趾趾屈筋、長趾屈筋。

・歩行時の痛みの出るフェーズや、マウンテンクライマーの運動から底屈筋も影響していると考えると、足趾屈筋‐足関節底屈筋の長母趾屈筋、長趾屈筋が怪しい。

 

4)長母趾屈筋性?

・過緊張は、距骨の後方移動を制限し背屈を制限。

・背屈による緊張により、距骨内側部が前方に圧迫。

歩行時の痛みのでるフェーズでは、長母趾屈筋の収縮が入り緊張が高まるとともに、背屈による受動的な緊張も高まり、距骨下関節の関節運動異常が生じて、足関節に痛みが出たのかもしれない。

あらためて触診すると足底部の硬い部位は、内側部で長母指屈筋腱の可能性が高い。

足底内側部‐長母指屈筋のほぐし

最初の1-2歩はよいが、痛みは残存。10→5くらいの改善度合い。

 

【経過】

翌日にはほとんど痛みなし。

治療効果か自然経過かは明らかでない。

 

【まとめ】

マウンテンクライマーによる過剰な足趾屈曲 → 長母趾屈筋過緊張 → 歩行時に長母趾屈筋の緊張増加 → 距骨の関節運動異常 → 歩行時の足関節痛。

マウンテンクライマーで過剰な足趾屈曲が起きたのは、床面がすべりやすかったことが考えられます。

蹴るときに足が流れてしまったので、より長母趾屈筋に負担がかかったと考えられました。

 

この考察が正しいのかはわかりませんが、このように検討することで、次回の評価がよりスムーズになります。

また、今後、自分の新しい知見や知識が加えられると、今回の考察が見直されることもあります。

その繰り返しにより、臨床に厚みが出てきます。

 

また、結果や経過が良好だったとしても、それが

1)自然経過によるものなのか

2)治療によるものなのか

3)プラセボなどによるものなのか

を評価する必要があります。

1)や3)の割合は結構少なくないです。

そして、2)が1)を妨げている場合も少なくないです。