.子宮頸がんとワクチン①
【子宮頸がん】
<疫学>
1)世界
・2018年の新規患者は世界で推定57万人、死者は同31万1千人で約9割が低・中所得国。
・死亡リスクは、0.3%。
2)日本
・全国で1年間に新たに約1万人が診断され、約2800人が死亡。
・2014年の新規診断数は10400名で、死亡数は約3,500名程度と推測。
<原因>
・性交渉に伴うヒトパピローマウイルイス(HPV)の感染が原因のほぼ100%を占める。
<ヒトパピローマウイルス(HPV)>
・100種類以上あり、そのうち30-40種類が性的接触により感染。
・15種類は発がん性を持っている。
・微小な傷から子宮頸部の上皮細胞の基底層に侵入。
・感染しても90%以上が2年以内に自然に排出され、がんには進展しない。
<HPV感染率>
・成人女性の50%が感染。
・一般の受診者:10代で46.7%、20代で21.7%。
・性風俗関係の仕事についている女性:48~61%。
・子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10~20%程度の方がHPVに感染。
・海外では性行為を行う女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染。
<経過>
・HPVに感染しても、それだけでは癌に進んでいかない→感染が持続することで、「異形成」という状態から「上皮内癌」→「進行癌」と進んでいく。
・5年以上の持続感染によって病変が進んでいくと言われる。
・1度感染しても2年以内に90%の人がウイルスが勝手に消えていく→10代や20代のうちに約80%の人がいったんHPVに感染するけれど、そのうち10%弱の人だけが30歳以降も感染が持続し、そのうち1~2%の人が癌に進んでいく。
・HPV感染が持続するリスクとパートナーの数は比例するが、感染による病変が進行するリスクはパートナーの数と関係ない。
・早期に発見すれば比較的治療しやすく予後がいいが、進行すると治療が難しい。
<予防>
・20歳以上の女性に対し2年に1度の検診を推奨(厚生労働省)。
・性交渉を始める前のワクチン接種が有効。
引用・参考資料
・中川恵一:細菌・ウイルス 高いリスク、日経、2020
・中川恵一:HPVワクチン適切な対応を、日経、2019
・整形外科的まとめ、Blog、2018
・中村祐輔:中村祐輔のシカゴ便り、blog、2017