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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.子宮頸がんとワクチン②

【子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)】

 

<効果>

・感染防止に効果があるとして接種を推奨(WHO-2019)。

・子宮頸がんの前癌状態を減らすことが示されている(BMC Public Health-2014)。

・ワクチン接種の普及によって将来の罹患率が低下するというエビデンスはほぼ確立。

・成人後の性行為で感染するHPVを予防することで、子宮がんを理論上予防する(観察期間が短いため、前癌の予防しか判明できていない)。

・接種受けた20-22歳の女性1297人のうちパピローマウイルスに感染していたのは3人(0.2%)。

 →同年齢で接種しなかった人は675人のうち12人(1.8%):有意差あり。

 →ワクチンにより感染が1/9に減少すれば→発症者は年間約8000人↓・死亡者数は年間約2500名以上↓。

 

<副作用>

・接種延べ回数約890万回において、医師が重篤な症状として報告した症例の頻度は0.007%(10万人7名)。

重篤例の多くは心因性であるとの結論。

・接種の痛みを契機に痛みの悪循環(破局的思考)が起こり、痛みや緊張、恐怖、不安等が身体の不調として表出する、いわゆる心身の反応(機能性身体症状)がその発生メカニズムとして提唱。

・接種者と非接種者では差がない(J Adolesc Health-2010)。

・HPVワクチンと症状との間に有意な関連性は見いだされなかった。

 

<ワクチン摂取の推奨年齢>

・小学6年生~高校1年生相当。

 

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ちなみに、副作用として、以下の症候群を提唱している方々もいます。

 

<HANS:子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群(西岡-2014)>

・子宮頸がんワクチンを接種した人に起きたと考えられる免疫異常で、接種から経過した時間は問わない。

・痛みや疲労感、神経・精神症状、月経異常や自律神経障害、髄液異常などありとあらゆる症状を引き起こしており、今の検査技術では証明できないが脳内で起きている異常としか考えられない病態。

・脳症であり、その4大症状は中枢神経由来。

視床下部の異常でしか説明できないが、人類が経験してきた視床下部の症候とはちょっと違う。

 

しかし、基本的なところとしては、副作用はそれほど多くなく、しかもその多くは心因性のようです。

ワクチンの場合、健康な状態で摂取するので、何かが生じた場合はどうしても負の側面ばかりピックアップされてしまいがちでです。

摂取しない場合のリスクを考慮して、判断する必要があると思います。

 

平成27年の14歳女性の人口は約57万人で、全員接種したとすると、

副作用がでる人は、約40名。

発症者は、おおよそですが、約10000人→約2000人、死亡者約3000人→約500人。

 

<予防>

・20歳以上の女性に対し2年に1度の検診を推奨(厚生労働省)。

・性交渉を始める前のワクチン接種が有効。

 

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引用・参考資料

 

 

 

・中川恵一:HPVワクチン適切な対応を、2019

・中村祐輔:中村祐輔のシカゴ便り、blog、2017

・岩田健太郎:近藤誠氏「ワクチン副作用の恐怖」は真に妥当性のある意見なのか?、MRIC、2017

・村中璃子:子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか、blog、2015

・村中璃子:子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか、blog、2015

・中村ゆきつぐ:HPVワクチンについて、blog、2014