.ヘバーデン結節と全身性変形性関節症 ②HNとGOA
ヘバーデン結節と全身性変形性関節症 ②HNとGOA
ヘバーデン結節(HN)とは、指の先端の関節(遠位指節間関節:DIP)が痛み、変形してくる中高齢の女性に多い疾患です。
・70代女性で30%にみられる→男性は3%以下、50代女性1%(2006-Irlenbusch)。
<HNがあると結節性の全身性変形性関節症(GOA)の可能性が高い>
・HNは、GOAの主なマーカーで予測因子となる(2010-Blagojevic、1963-Kellgren、1944-Stecher)。
・HNは、GOAの素因の存在を示す遺伝的マーカー(2006-Irlenbusch)。
・HNは、孤立した臨床像ではなく、GOAのDIPの特異的な症状(2006-Irlenbusch)。
<GOAとは>
・3つ以上の関節または関節群が関与している状態(2010-Ana)。
<GOAの診断基準>
・Kellgren and Moore基準:ヘバーデン結節または両膝関節変形性関節症。
・ACR基準:脊椎と他の少なくとも2つの関節の変形性関節症。
・Dougados基準:両側指変形性関節症または脊椎と両膝の変形性関節症。
<結節性のGOAは遺伝的要因が強い>
・他の形態のOAよりも遺伝的要素が強いことが示唆(2006-Irlenbusch)。
・女性では、この病気は優性遺伝に従ってヘテロ接合状態で発現(2006-Irlenbusch)。
・男性では、形質はホモ接合体であり、劣性遺伝を示す(2006-Irlenbusch)。
・双子の研究では、遺伝的要因の影響が39%から70%も見られた(2004-Spector)。
・軟骨基質(COL2A1)の遺伝子の変異が症状を引き起こすことを示唆(2002-Arita、1995-Bleasel、1994-Pun、1991-Priestly)。
・局所的な環境因子よりも全身的な素因の影響が高い疾患の可能性(2000-Felson) 。
・遺伝との関連性は19世紀には早くも指摘(1952-Kellgren、1946-Stecher、1941-Stecher)。
<結節性のGOAの関節変形の特徴>
・HNにおけるOAプロセスは、軟骨下骨化を伴う関節周囲骨のリモデリングから始まる(2006-Irlenbusch) 。
・HNの関節炎は、軟骨下骨の縁領域内での骨化の増加を示す(2006- Irlenbusch)。
・HNとX線写真上の骨棘との間の相関性が低い(1998-Cicuttini、1994-Burnett)
<結節性のGOAの特徴>
・複数のHNとブシャール結節を特徴とし、女性に優位(2005-Thaper)。
・多関節OAの病変、HNの存在、遺伝的パターン、女性に多く、顕著な肥満がない(1952-Kellgren)。
・これに対して、非結節性は身長やBMIが高く、肥満と高血圧の両方の割合が高い傾向(2010-Ana、1947-Fletcher)。