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.ヘバーデン結節と全身性変形性関節症 ③HNとGOAと膝OA

ヘバーデン結節と全身性変形性関節症 ③HNとGOAと膝OA

 

へバーデン結節(HN)および結節性の全身性変形性関節症(GOA)と変形性膝関節症(膝OA)との関係は比較的強い。

 

<膝OA>

・膝OAの半数以上がGOAのいくつかの定義を満たしている(2011-Forestier)。

・膝OAの主要な予測因子となる(2010-Blagojevic、1963-Kellgren、1944-Stecher)。

 

<HNの存在が発症と進行に関連>

・HNの数、位置、対称性は、8年間にわたる膝のOA発生率と関連(2018- Kumar)。

・1、3指のHNと関連が強く、2指も関連(2018- Kumar)。

・HNの対称性は膝OAの発症と進行に関連(2018- Kumar)。

・有意な関連性がある(2015-Bastick、2010-Valdes、Blagojevic、1992-Schouten)。

・有意な関連性はない(2011- Nishimura、2000- Cooper)。

・HNの存在は、膝OAの進行リスクを6倍に高める(1992-Schouten)

 

<病態>

・HNの存在は、膝関節のより多くの軟骨下骨の膨張と有意に関連(2019- Arya)。

・骨棘の悪化は少ないが軟骨下骨損傷は悪化する傾向で、骨吸収メカニズムによって説明できる可能性(2019- Arya)。

・HN患者におけるOAの急速な進行は、炎症性関節炎で観察されるパターンに類似しており、骨棘形成には消極的な可能性(2019- Arya)。

・病態生理は関節周囲骨の膨隆である可能性(2006-Irlenbusch)。

 

<特徴>

・GOAとしてのHNを有する患者は、有さない患者に比べて高齢、女性である可能性が高く、BMIの高さや膝損傷の既往など、膝OAの他の既知の危険因子の頻度が低い(2019- Arya)。

大関節OAの結節性ではTHRとTKRの両方を受けるリスクが高いが、置換術を受けた年齢は非結節性OA患者よりも高い(2010-Ana)。

 

膝OAの半数以上が、GOAであるとすると、これらはほぼ自然経過で良くなっていった可能性があります。

この経過途中に、なんらかの徒手的および運動的な治療が本当に必要なのかは、検討する必要があります。

 

また、股関節OAに関しては、HNとの関連性はやや曖昧のようです。

・HNと明確な関連性がない(2009-Herrero、1998-Gunther、1992-Ledingham、1975-Yazici)

・HNと関連性がある(1995-Hochberg、1992-Croft、1973-Roh)。