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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

ハムストリングスの肉離れ

ハムストリングスの肉離れ】

先日の第9回SPTSのまとめ

・肉離れの中でも最も多く、走行時に生じるSprint Typeと股関節の過屈曲によるStretching Typeに分かれる。

<Sprint Type>
陸上競技、サッカーで多い。大腿二頭筋長頭の損傷が多く、共同腱を持つ半腱様筋も合併損傷することがある。
大腿二頭筋長頭損傷が起こりやすい解剖学的特徴として、他のハムストリングスと比べて近位の腱膜が細く伸張率が高いことがあげられる。
・Sprint中のTerminal swingとearly stanceでの発症が大きいと考えられる。
・Terminal swingではハムストリングスの遠心性の筋活動が高く、大腿二頭筋の伸張率が大きい。
・Terminal swingでの股関節の屈曲や膝関節の伸展が大きくなると肉離れのリスクが高くなることが考えられる。
・early stanceでもハムストリングスは高い筋活動を示し、股関節の屈曲を制動する遠心性収縮から、伸展に行うための求心性収縮に急激に切り替わるため、この時に損傷すると考えられる。
・経過は、Stretching Typeに比べて良好で完全復帰まで平均16週との報告がある。

<Stretching Type>
・ダンスやサッカーなどでの股関節過屈曲で生じる。
・経過は、Sprint Typeに比べて悪く完全復帰まで平均50週との報告がある。

<リスクファクター>
・年齢(24歳以上)、大腿四頭筋ピークトルクの増大、ハムストリングス肉離れの既往歴。

<治療>
・1日4回のストレッチは競技復帰までの期間を短縮
・機能トレーニング群は筋力トレーニング群に比べて再受傷リスクを軽減。

<予防>
・RCT試験からは効果的な予防介入効果は得られていない。

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一般の人では、Sprint Typeの方が多いのではないかと思います。
久しぶりに走ってピキッと・・・。

Stretching Typeは、サッカー選手の損傷をみていると、身体能力が高い選手に多いように感じます。
ボールが届くぎりぎりの所や転倒しそうな所で踏ん張れてしまい、そこに外力が加わり損傷する。
したがって、損傷の程度も大きく手術が適応の場合もあります。

リスクファクターには、
・柔軟性の欠如
・不十分な筋力と筋持久力
・協同収縮の失調
・二関節筋の特徴
大腿二頭筋の二重神経支配
・運動前の不十分なウォーミングアップやストレッチなどもいわれています。


参考・引用
池田祐真:ハムストリングスの肉ばなれ、第9SPTS、2013.
奥脇透:ハムストリングス肉離れ、臨床スポーツ医学25(臨)、2008.