.人工膝関節置換術後に生じた伏在神経膝蓋下枝障害に対し神経腫切除術に至った5例
【0727:人工膝関節置換術後に生じた伏在神経膝蓋下枝障害に対し神経腫切除術に至った5例、伊藤直之、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】
<伏在神経膝蓋下枝障害>
・人工膝関節置換術(TKA)後の伏在神経膝蓋下枝障害の発生頻度は70~100%。
・症状は自然経過で改善している症例が多いと報告。
・4~10%で、異常感覚や疼痛が強く術後満足度や日常生活に影響した重症例が認められる。
<対象>
・人工膝関節置換術(TKA)を施行した5例(全例女性、平均年齢74.6±4.4歳)。
<評価>
①主訴
・膝関節前面遠位部の安静時痛、膝関節屈伸時や歩行時の運動時痛。
②感覚検査
・全例に伏在神経膝蓋下枝の支配領域に異常感覚、疼痛としての自覚症状。
③痛み
・「触れるだけで痛い」、「カッターで切られた感じの痛みがする」、「寝ていても疼くように痛い」等。
・VAS:平均9.2±1.0cm
・圧痛:全例に膝関節前面遠位内側部の一点に著明な圧痛。
④圧痛部へのキシロカインテスト
・VAS:平均2.2±0.7cm→観血的治療の適応と判断。
<手術>
・TKA施行から神経腫切除術までの期間:平均1.8±1.1年。
・4例:圧痛を認めた部位に神経腫の形成、皮下組織と癒着→神経腫切除と神経剥離を施行。
・1例:明らかな神経腫の形成は認めなかった。
<術後経過>
・VAS:平均0.4±0.8cm
・神経腫を認めた4 例ではVAS0cmに改善し、異常感覚と圧痛の消失が認められた。
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・TKA後に伏在神経膝蓋下枝障害が疑われた患者に対して、神経腫切除と神経剥離を施行して良好な成績が収められています。