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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.PI1-236「人工股関節置換術後患者における歩行時股関節伸展制限の原因は何か?」

PI1-236「人工股関節置換術後患者における歩行時股関節伸展制限の原因は何か?」塚越 累
第46回日本理学療法学術大会 2011年

【目的】
THA 患者は歩行立脚後期での股関節伸展角度が減少していることが共通した歩行異常として挙げられている(Perron M 2000, Miki H 2004)。

THA患者の歩行時股関節伸展角度と股関節伸展可動域、下肢筋力との関連を検討。

【対象】
変形性股関節症により THA を施行した女性 54 名。

【結果】
<股伸展ROM> 平均10.7±4.1°

<下肢筋力の各平均値>
1)股屈曲 :0.96±0.18 Nm/kg
2)股伸展 :1.07±0.22 Nm/kg 
3)股外転 :1.00±0.23 Nm/kg 
4)膝屈曲 :0.75±0.18 Nm/kg 
5)膝伸展1.77±0.49Nm/kg

<歩行時股関節最大伸展角度> 平均6.5±7.5°

<歩行時股関節最大伸展角度と有意な相関を示したのは>
1)股伸展 ROM (r=.301) 
2)股屈曲筋力 (r=.247) 
3)股外転筋力 (r=.406)  
4)膝伸展筋力 (r=.340) であった。

※股伸展筋力 (r=.192) と膝屈曲筋力 (r=.049) は有意な相関を示さなかった。

<歩行時股関節最大伸展角度に影響を与える因子>
・股外転筋 ( β =.374) と股伸展 ROM( β =.254) が抽出された (R2=.228)。

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歩行時に股関節伸展をしっかり出すには、伸展の可動域はもちろんですが、やはり股伸展筋力よりも股外転筋力の方が大事なんですね。

立脚時の股関節中間位から伸展域にかけては、特に内転しやすいので、中殿筋後部が重要なのかもしれません。

しかし、術後の股伸展ROMの平均が11°というのは素晴らしいですね。