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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.多裂筋:腰痛との関係

【多裂筋と腰痛の関係】

<椎間板性腰痛>
・患側の脊椎レベルでの筋線維は、非患側よりも有意に小さい(2001-Yoshihara)。
・椎間板障害と一致する腰神経後内側枝により単根性に支配されている多裂筋椎弓線維を片側性に萎縮させる(1996-Julie)。

<神経根性腰痛>
・神経根に対する物理的、化学的刺激により、腰神経後枝内側枝により単根性に支配されている多裂筋椎弓線維が片側性に萎縮する。

<椎間関節性腰痛>
・椎間関節包由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋が攣縮する。

<慢性腰痛>
1)筋萎縮/変性
・断面積は、対照群と比較してL4-5で分節性に低下(2003-Kelley)。
・特にL5脊椎レベルに萎縮が見られた(2000-Danneels)。
・ 健常者で認められない断面積の左右差が顕著(1994-Hides)。
・腰痛患者において選択的に短時間に萎縮する(Hides)
・80%に変性があり、好発部位はL4-5、L5-S1(2000-Kader)。
・ 多裂筋の萎縮と下肢痛には有意な相関(2000-Kader)。

2)筋機能
・腰痛群では、腰部伸展活動中の筋電活動が低下(1991-Sihvonen)。
・健常者と比較して疲労スピードが速い(1991-Biedermann、1989-Roy)。
・健常者と比較して多裂筋の疲労耐性が低い(Hides)。
・多裂筋の筋紡錘からの感覚入力が低下(2000-Brumagne)。


なんらかの腰痛が生じるとそれに伴い多裂筋が萎縮し機能低下が生じる。

多裂筋の機能低下により、脊柱から骨盤帯の安定性が損なわれ、二次的に腰痛が生じるという悪循環が起こる。

ということで、腰痛後には多裂筋の萎縮や機能改善が必要になりそうです。