.ACL損傷:固有受容感覚
【ACL損傷:固有受容感覚】
・膝運動覚と膝前方動揺性は有意に相関する(1989-Barrack)。
・ACL remnant(遺残靱帯)内にメカノレセプターは平均17個存在
メカノレセプター総数と膝関節位置覚誤認角度には相関が認められる(2002-Adachi)。
・ACL損傷例では受傷前から関節固有感覚が有意に低下(2002-岡村)。
<ACL損傷膝>
・運動認知閾値は健常者に比べ劣っている(1989-Barrack)。
・関節位置覚と関節運動覚の両者が劣っていた(1992-Corrigan)。
・関節位置覚は、再腱膝、健側膝と比べて有意差があった。
<再腱ACL>
・動物実験では、再腱ACL内にメカノレプターが組織学的に証明
経時的にその数が増えてくる(1992- Goertzen、1999- Shimizu)。
・ヒトACL remnantに多くのメカノレセプターが存在することを組織学的にしめした(1994-Denti)。
・ACL remnantを電気刺激しSEPの導出を行うことで神経組織の存在を証明
その反応は膝不安定性と負の相関を示す(1999-Ochi)。
・ACL再建膝の関節位置覚は術後9ヶ月から改善する傾向がある
十分に改善するには約18ヶ月以上の期間を必要とする(2000-Iwasa)。
<ACL再腱の膝固有感覚に及ぼす影響>
1)健側との差がある
・手術側と健側間に膝関節位置覚に有意差あり→ACL再建平均15ヶ月(1986-Newberg)。
・関節位置覚は、正常膝よりも有意に低下したが、ACL損傷膝よりは優れていた。
患者の満足度と関節固有感覚能は高く相関している(1991-Barrett)。
・再腱された膝には関節運動覚障害が存在(1993-Co)。
2)健側との差はなし
・膝関節位置覚の違いはなかった。→ACL再腱後平均48ヶ月(1988-Harter、Dvir)。
・他動運動認知閾値と関節誤認角度はコントロール群と有意な差はない→術後平均28ヶ月(2000-Iwasa)。
引用・参考文献
・岩佐潤二:ACL損傷、再建の膝固有感覚に及ぼす影響、臨床スポーツ医学22(3)、2005.
・岡村良久:膝前十字靱帯損傷と関節固有感覚.臨床スポーツ医学19:1011-1015、2002.
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術後2年近く関節位置覚などは機能低下していることが考えられます。
筋機能を高めること、固有受容器を刺激することなどが必要かもしれません。