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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.「超音波検査を用いたプロ野球投手の棘下筋質的評価」

PI2-205「超音波検査を用いたプロ野球投手の棘下筋質的評価」内薗 幸亮::第46回日本理学療法学術大会、2011年

<対象>
・シーズンを通して一軍で競技したプロ野球投手37名。
・先発群:16名
・中継群:21名

<測定部位>
・安静時および収縮時の棘下筋厚( 肩甲骨内側1/4・肩甲棘下方30mm)を測定。

<収縮率:先発群/中継群>
・135.9%/127.3%

<L 値:先発群/中継群>
・25.17/25.47

<肩関節可動域:先発群/中継群>
1)2nd ER:126.8°/122.2°
2)2nd IR :32.9°/27.2°

<理学所見(陽性率):先発群/中継群>
1) 68.8%/85.7%:SSD
2) 87.5%/90.5%:CAT
3) 100%/90.5% :HFT
4) 6.3%/ 4.8% :HERT
5) 37.5%/33.3%:Impingement test
6) 81.3%/47.6%:Loose test
7) 62.5%/42.9%:EET
8) 68.8%/42.9%:EPT
9) 50.0%/38.1%:ER
10)25.0%/100%:IR
11)43.8%/42.9%:SSP

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L値が高いというのは水分量の低下を示すそうです。

中継ぎ群(中継ぎ、抑え)では、棘下筋の収縮率が低く水分量も低下していることから、棘下筋の線維化が考えられるようです。

関節可動域や理学所見と見比べても、先発群では緩め、中継ぎ群は硬めの肩のような感じです。

1日の投球数が多いが休みがある場合と1日の投球数は少ないが休みが無い場合の違いですが、実際どちらの方がいいのかはなんともいえませんが、それぞれにあった対応が必要になりそうです。


※陽性の基準は異なるかも知れませんが参考まで、

1)SSD(Scapula Spine Distance)
・肩甲骨肩甲棘基部内側と脊椎棘突起の間の距離を比較し、左右差が1cm以上を陽性。
2)CAT(Combined Abduction Test)
・肩甲骨を徒手的に体側に固定して上肢を外転させ可動域制限がみられるもの。
3)HFT(Horizontal Flexion Test)
・肩甲骨を徒手的に固定して上肢を水平屈曲させ、可動域制限がみられるもの。
4)HERT(Hyper External Rotation Test)
・背臥位、肩関節を過水平外旋させ疼痛を訴えたもの。
5)Impingement test:
・Neer、Hawkins、Ellmanなどの手技で疼痛を訴えたもの。
6)Loosening test:
・下垂位での下方への不安定性を呈したもの。
7)EET(Elbow Extension Test)
上腕三頭筋の筋力評価:肘関節屈曲100°以上から伸展させ脱力現象を生じたもの。
8)EPT(Elbow Push Test)
・前鋸筋の筋力評価:肘関節屈曲90°にして、肘頭に対して抵抗運動を行い脱力現象を生じたもの。
9)ER(下垂時外旋筋力テスト)
・MMT5未満。
10)IR(下垂時内旋筋力テスト)
・MMT5未満。
11)SSP(初期外転筋力テスト)
・MMT5未満。