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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.「健常人と慢性疼痛患者における脊柱弯曲可動域の比較」

OF2-059「健常人と慢性疼痛患者における脊柱弯曲可動域の比較ーWBI境界値を基準とした検討ー」
九藤 博弥、 第46回日本理学療法学術大会、2011年

<対象>
・健常人:19名(男性14名・女性5名・平均年齢25.95±4.70歳)。
・慢性疼痛患者:19名 (男性 9名・女性10名・平均年齢39.63±15.94歳) 。一般外来を受診した外傷を起因としない慢性疼痛患者であり、かつWBI(体重支持指数)84.0以下を呈している者。

<結果:健常人/ 慢性疼痛患者>
1)胸椎弯曲可動域:50.74±7.44/32.53±11.69(p<0.01)
2)腰椎弯曲可動域:67.53±10.30/51.16±12.56(p<0.01)
3)仙骨傾斜可動域:-51.89±13.62/-32.05±12.62(p<0.01)

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WBIは、体重に対する大腿四頭筋力の割合です。
WBIが低い慢性疼痛患者では、胸椎弯曲可動域、腰椎弯曲可動域、仙骨傾斜可動域が低くなっています。

WBI80未満(低体力者)では、
→日常行動で筋張力が容易に50%MVCを越える
→筋内圧は筋内血流が途絶するまでに上昇
→筋代謝は無酸素性代謝
→自律神経は交感神経緊張状態を呈す(黄川)
→筋緊張亢進状態
→脊柱弯曲可動域の減少
といった構図になっています。

また、ストレスなどによる交感神経緊張状態は、
→筋緊張亢進状態
→脊柱彎曲可動域の減少
→筋出力の減少
→慢性疼痛
といった流れも考えられるようです。

したがって、
低体力要因であれば、筋出力をあげるようなエクササイズ。
ストレス要因であれば、ストレスを解消する事も必要ですが、平行して筋緊張や脊柱彎曲可動性を改善していくことも必要になります。

詳しくは、こちらに書かれています。
スパイン ダイナミクス療法