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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.コルセットの内腹斜筋への影響

0501「腰部安定化訓練においてコルセット装着の有無が体幹筋活動に及ぼす影響」末廣 忠延: 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・健常な男性10名(平均年齢21.3±0.5歳)。

<測定課題>
・ブリッジ、下肢伸展挙上の2種目。
・コルセットなし条件とコルセット(ダーメンコルセット)条件で測定

<測定筋>
・右側の腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、胸部脊柱起立筋、腰部脊柱起立筋、腰部多裂筋。

<結果:コルセットなし条件/コルセット条件>
1)ブリッジ
・内腹斜筋:6.2±7.4%/4.2±4.0%(有意差あり)。
・有意差なし:腹直筋、外腹斜筋、胸部脊柱起立筋、腰部脊柱起立筋、腰部多裂筋
2)同側の下肢伸展挙上
・内腹斜筋:27.9±17.9/25±16.3(有意差あり)
・腹直筋:7.1±3.5%/5.1±2.3%(有意差あり)
・有意差なし:外腹斜筋、胸部脊柱起立筋、腰部脊柱起立筋、腰部多裂筋。

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軟性コルセットの使用で、運動時の内腹斜筋の活動量が低下しているようです。

これはコルセットが内腹斜筋の働きを代償しているということで、コルセットをして痛みが改善する例では内腹斜筋の機能が低下していると考えられます。

また、コルセットの形状、内腹斜筋下部線維との関係から考えると、おそらく腹横筋の活動も低下すると考えられます。

漫然と使用することで、内腹斜筋や腹横筋の機能低下が生じることも考えられるので、必要に応じて使い分けていく必要があるかもしれません。

両者が関係する機能としては、
仙腸関節や恥骨結合を圧迫し、腰部脊柱の安定化に寄与(2008-Pel、1999-Hodes)
・胸腰筋膜緊張により、腹部臓器支持と腹腔内圧増加の機能を有する(2009-伊藤)
などがあるようです。