大腿四頭筋肉離れ
<大腿四頭筋肉離れ>
・肉離れの中では、ハムストリングス、内転筋群に続いて3番目くらいの発生率。
・遠心性負荷が高まると損傷が生じやすいと考えられる。
・遠心性負荷は、sprintでは立脚初期のdeceleration phaseでの膝屈曲-股関節伸展、サッカーではステップ側での股-膝関節伸展、スイング側のスイング時の膝屈曲減速時に大きくなる。
・大腿四頭筋の中では、大腿直筋の損傷が多いが以下の要因が考えられる。
①二関節筋
→over stretchや過剰な遠心性収縮。
→股関節と膝関節の運動のタイミングのズレ。
→運動イメージと実運動の誤差が生じやすい。
②大腿四頭筋内では大腿直筋にのみ筋内腱が存在。
→筋収縮時には筋線維より筋腱移行部の方が脆弱なため、筋内腱がある部位に生じやすい。
③筋内腱を介して寛骨臼上縁に付着するindirect headとASISに付着するdirect headの2つの異なる線維が存在(Hasseiman-1995、Temple-1998)。
→2つの線維の柔軟性、筋力、収縮のタイミングの差など。
④上方、下方2本の大腿神経分枝が支配(Yang-1999、Sung-2003)。
→分枝間の伝達の差による収縮のタイミング差。
⑤起始部付近では、上前腸骨棘に起始する大腿筋膜張筋と縫工筋に挟まれるように覆われ、大腿中央部付近まで縫工筋と並走する。
→筋の滑走性の低下や他筋の収縮による筋内腱へのストレス増大。
肉離れの要因としては、柔軟性や筋力などもあげられますが、
2関節筋、2線維、2つの神経分枝というような特徴で、
協調性やタイミングがうまくいかなくて損傷してしまうことが多いような気がします。
参考・引用
蒲田和芳:鼠径部拘縮症候群、sportsmedicine No39-41、2001.
伊藤雄:大腿四頭筋肉離れ、第9回SPTS、2013.