うつ病 ストレスホルモンとBDNF
<ノルアドレナリン>
・ストレスによる扁桃体の活動はノルアドレナリンを分泌させる。
・注意や知覚、意欲、覚醒に影響する信号を増強させる、下垂体を刺激しコルチゾールを分泌させる働きがある。
・うつ病患者では、ノルアドレナリンの分解産物であるメトキシハイドロキシフェニルグリコール(MHPG)が少ない。
<コルチゾール>
・扁桃体の活動はコルチゾールを分泌させ、多くのグルコースを血液中に送り出させ、同時にストレス対処上重要でない組織や器官のインスリン受容体を遮断する。
・慢性ストレスにより、身体各部へのグルコースの供給状態が続いていると、脳の供給量が低下し、思考する部位のエネルギーが奪われてしまう。
・うつ患者では、コルチゾール濃度が慢性的に高い傾向があり、これが神経細胞の壊死を招いて、海馬などの脳領域で萎縮が起きやすい(1996-Sheline)。
<BDNF( 脳由来神経栄養因子)>
・神経細胞の生存、成長、シナプスの機能亢進などの神経細胞の成長を調節する神経系の液性タンパク質で海馬に多く含まれる。
・加齢に伴い減少し、海馬の萎縮と関連する。
・不安を駆逐するのに欠かせない因子で、コルチゾールの攻撃からニューロンを守る。
・うつ病患者の血液中のBDNF値は、全員が正常値を下回っており、値が高くなるとうつの症状が軽減した。
参考文献
大塚邦明:病気にならないための時間医学、2007
J. Ratey、Eric Hagerman:脳を鍛えるには運動しかない、2009
篠浦伸禎:ボケない生き方、2012
島田裕之:加齢に伴う生体機能の変化を追う、理学療法学40(3)、2013.