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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

うつ病 運動療法の効果

運動療法の効果>
・1日30分の歩行運動を10日間行うとうつ病の症状の改善が見られた(2001-Dimeo)。
・動物の実験では、学習性無力感や絶望感が有意に抑制(2003-Greenwood)。
・週に3回、30分の70-85%の強度の有酸素運動は、薬と同等の効果、長期的には薬以上の効果がある。

<運動の神経伝達物質に対する影響>
抗うつ剤のターゲットになっている神経伝達物質をすべて調節する。
ノルアドレナリン
・脳幹の覚醒中枢においてノルアドレナリンのバランスを整える。
②BDNF
トレッドミルにより、BDNFの脊髄内の発現が増加し、発現量は訓練量と比例関係にあった(Ying-2005)。
・1年間の有酸素運動の実施により海馬容量の増加、脳容量の増大、高いBDNFや記憶機能(2013-島田)
・分泌量の増加は、細胞の修復プロセスの開始、コルチゾールの増加の監視、必要に応じてセロトニンノルアドレナリンドーパミンを増やす。
・不安に対して効果がある。
ドーパミン
ドーパミンを放出し、気持ちを前向きにし、幸福感を高め、注意システムを活性化させる。
・習慣的な運動は、脳のドーパミン貯蔵量を増やすだけでなく、ドーパミン受容体を作る酵素が生成される→結果としてドーパミン値が上昇。
④エンドルフィン
・ランニングでは多幸感、鎮痛作用のあるβエンドルフィンが増大。

<運動による予防効果>
・運動の習慣の有無が、うつ病になるリスクを減らす。
・運動すると不安が減り、うつにも神経症にもなりにくく、より社交的になる。
・週に2、3回運動している人は、運動していない人に比べて、うつ、怒り、ストレス、ひねくれたものの見方が極めて少ない。
・運動の量が影響し、毎週50分運動すると、うつになる確率が50%低下。

参考文献
大塚邦明:病気にならないための時間医学、2007 
有働洋:運動が脳機能に与える効果、臨床スポーツ医学25(10)、2008.
J. Ratey、Eric Hagerman:脳を鍛えるには運動しかない、2009
島田裕之:加齢に伴う生体機能の変化を追う、理学療法学40(3)、2013.
森岡周:痛みと情動の脳内機構とリハビリテーション、TAP講習会、2013
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うつ病の改善や予防には、有酸素運動が良さそうです。
しかし、口で言うのは簡単ですが、
これは、
お腹いっぱいの人に、もっと食べましょう・・・
睡眠十分の人に、もっと寝ましょう・・・
というのに近く、
意欲が低下している人に、動きましょうといっても
なかなか難しいところもあります。