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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.理学療法士はその知識と技術を「運動による自助」に提供しなければならない

先日、日本理学療法士協会の会報「JPTA NEWS」で日本理学療法士協会の半田会長が現在の理学療法士における問題をあげていました。

理学療法を行う上では、「自らの健康は、自ら維持するという自助を基本とする」という考えが必要である。

理学療法士は運動を治療として活用する職種であり、その知識と技術を「運動による自助」に提供しなければならない。

「訪問リハビリテーション」は、医療ニーズを持つ高齢者を支えるために理学療法を実施しなければならないが、往々にして在宅等で行われるという「マッサージ的行為」は、社会的な意味を持たない蛮行と言わざるおえない。

厚生労働省の診療報酬関係者からは、 さすって1単位、散歩して1単位、合計2単位の「なんちゃってリハビリテーション」という言葉を聞く機会が増えている。

「マッサージ」と「散歩」に終始する理学療法士では社会的使命を果たすことは不可能である。

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「蛮行」という言葉が出て来たのはびっくりしましたが、専門職である以上、誰がやっても出来る事をしていては意味がありません。
理学療法士だからこそ出来ることをしないといけないということで、そこの専門性は「運動」を指導し自助を促すことと明言しております。

さらに「なんちゃってリハビリテーション」・・・。
リハビリ受ける方も、提供する方も実際の金額を認識して、適正なものかを意識する必要があると思います。
その、さすって1単位、散歩して1単位、合計2単位にかかるお値段はというと
リハビリテーションの診療報酬(1単位:20分)】
【2単位実施した時の料金(実際はこの1~3割負担)】
$桃井政希のブログ

実際にはこれに再診料などがかかるので、もう少し高くなります。
40分マンツーマンでリハビリをした時には、4000円前後かかっていますが、実際に窓口で支払うのは1割負担だと400円前後、3割負担でも1200円程度です。

これでは、「40分もしてくれて400円じゃ安いね~」ということになります。
この自己負担額が安すぎる弊害としては、リハビリを受ける側からみても、治療結果が出ないことへの評価が甘くなることが考えられます。
これは、医療者側の結果に対するプレッシャーも低くなるため、医療サービスや技術の低下につながります。
また、結果の出ない治療を漫然と続けることになり、結果として医療費が増加することも考えられます。
さらに、安いからとりあえずやってみるということで、過剰な医療が提供される可能性も否定できません(自己負担のない生保の人に必要の無い心臓病の手術をなんてこともありました)。
毎日、毎日、何年も何年も電気だけ通っているような場合もあります。
払うのは100円くらいでも、実際には1000円以上かかっています。
果たして、気持ち良いだけの治療、結果の出ていない治療を漫然と続けてよいのだろうか?

このような問題を無くすためには、何割負担に関わらず、1回病院にかかれば最低でも500円くらい(生保でも数百円)は自己負担を行なうシステムが必要かもしれません。

医療者、治療を受ける側双方とも、7~10割負担してくれている人たちが、納得してくれるかを意識しなければいけない。

「なんちゃってリハビリテーション」、「なんちゃって理学療法士」と言われないような、
保険制度に守られていると言われないような理学療法を行わないといけないと改めて思いました。