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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「腰痛ガイドブック」より

「腰痛ガイドブック」

腰痛に対しては、医師の診断のもと、レッドフラッグ(危険信号)を除外した上で、以下の考えがポイントとなる。
ちなみに、レッドフラッグは、転移性脊椎腫瘍、脊髄-馬尾腫瘍、化膿性脊椎炎、椎体骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、閉塞性動脈硬化症、馬尾症候群などで全腰痛患者の1~5%。

1)「生物学的損傷」というより、「生物、心理、社会的疼痛症候群」である。
・きっかけは、腰自体の傷害(生物学的)に起因しているかもしれないが、「不適切な態度と信念」、「感情の問題」、「診断と治療の問題」、「不適切な行動」、「家族の問題」、「仕事の問題」、「補償の問題」といった心理社会的な要因が影響している。

2)ごく一部の例外を除き、ある一定の経過をたどって自然に治癒する予後良好の疾患。「自己限定性疾患」
・風邪のようなもので、恐れることはない。

3)安静にしているとかえって回復が遅れる。
・受傷後2-3日の安静は必要だが、それ以降は通常の生活に戻した方がよい。

その上で、対策としては、
1)腰痛に対して抱いている不安や恐怖に打ち克つこと。
2)腰痛を和らげるために、ベッドで安静にするのはやめること。
3)出来るだけ普段どおりの生活を続けること。仕事もなるべく早く復帰する。
4)簡単な鎮痛法を試してみること。しかし、自分の腰は自分で治すという攻めの姿勢を忘れないこと。
5)ストレス解消法を見つけて、リラックスする時間を確保すること。
以上を充分把握した上で、二つの治療戦略を加える必要がある。
6)症状やできないことばかり考えないで、できたことに注目して、ほんのわずかな進歩も見逃さないこと。
7)運動する習慣を身につけ、活動的な生活を心がけること。

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心理的、社会的な問題の誤った解決策として、無意識的に腰痛が利用されてしまっている可能性があります。
となると、考え方(認知の仕方)や社会的な問題が解決されないと、根本的には腰痛は解消されない可能性があります。
大変ですが、何か他のものに原因を求めない、自分を自分で変えるんだという意識が必要かも知れません。
「腰痛があるから~~出来ない」と、なんでも腰痛のせいにしてしまうのは、少し腰痛や腰が可哀想な気がします。

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