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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

千葉YTIC17回 「うつ病とヨーガ療法」

千葉YTIC17回 「うつ病とヨーガ療法」

うつ病の一つの要因として、各種のストレスに長期的にさらされることがあげられる。
ストレスを感じるとストレスホルモンであるコルチーゾルが分泌される。
コルチゾールは、ストレスを緩和したり、感情を穏やかにする作用があるが、過剰に分泌されると高血圧、高血糖、免疫力の低下などが生じる。
さらに、長期的には脳の神経細胞の壊死を招いて、海馬などの脳領域で萎縮が生じる。その結果、感情が乏しくなったり、記憶力が低下する。

うつ病患者ではコルチゾール濃度が慢性的に高い傾向があり、海馬の体積は減少するとの報告もある (Sheline-2000)。

うつ病に対するヨーガ療法の効果としては、
第一に認知の変容によりストレス耐性をあげることが考えられる。ストレスの元となる、恐怖、不安などは、過去や未来に対する思いから生じる。ヨーガの智慧による、今に生きる事に集中する事や個に執着しないことなどで、恐怖や不安などに対する過剰な反応を抑制する事が可能となると考えられる。
第二に身体を動かす事による運動の効果が考えられる。運動は、抗うつ剤のターゲットになっている神経伝達物質を調節する効果があるとされる。

ヨーガ療法での報告ではないが、ヨーガ療法に類似するマイドフルネスストレス低減法では、1)呼吸法、2)静座瞑想法、3)ボディー・スキャン、4)ヨーガ瞑想法を8週間、12名(男性6名、女性10名;平均年齢38歳)に実施し、コントロール群と比較したところ、左海馬、後部帯状皮質、側頭頭頂連合、小脳の灰白質の濃度が増加したと報告している(Britta-2011)。
このことから、うつ病により低下した脳機能の改善も期待できることが示唆される。

参考文献
・坪田一男:ごきげんな人は10年長生きできる、2012
・Britta K et al: Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density、 Psychiatry Research: Neuroimaging 2011.
・J.カバットジン:マインドフルネスストレス低減法、2010
・J. Ratey、Eric Hagerman:脳を鍛えるには運動しかない、2009
・有働洋:運動が脳機能に与える効果、臨床スポーツ医学25(10)、2008.

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ヨーガ・スートラ 

Ⅱ-42「満足によって、無上の幸福が得られる」

幸福の種を見つける。
同じ事柄でも、幸福を感じるか、不幸を感じるか、何も感じないかは本人しだい。
ここに、呼吸し、物を見、風を肌で感じ、花の匂いを感じ、鳥の声を聞く。