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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.肩峰下インピンジメント-肩峰下滑液包炎

【肩峰下インピンジメント-肩峰下滑液包炎】

肩峰下インピンジメントのNeerの分類(1983)では、
StageⅠ:
 滑液包の浮腫と出血、Overuse、25歳以下に好発
StageⅡ:
 滑液包の線維化と腱炎、25~40歳 
StageⅢ:
 骨棘形成と腱板断裂、40歳以上

となっており、初期は肩峰下滑液包の問題が生じていると考えられる。

<肩峰下滑液包>
・大結節と肩峰の間にあり、肩峰周辺の大結節の可動範囲を守備範囲とする。
・奥行きと外方は肩峰の大きさと同程度で、内方は烏口上腕靱帯の半分まである。
・血管、神経の供給が豊富なことから、炎症を生じやすい組織といえる。
・炎症により少なからず腫脹があれば、烏口肩峰アーチ下で通過障害が生じることになる。

<肩峰下滑液包に問題があれば>
・挙上角度30°未満で緊張が増加し、疼痛を誘発しやすい。
・安静時痛や夜間痛の原因となる。
・肩甲骨面上約30°挙上位、内外旋中間位で緊張が緩和される。
・癒着した場合、挙上制限だけでなく回旋、内転制限にも影響する。

<肩峰下滑液包圧>
・夜間痛に関連する因子のひとつ。
・立位、仰臥位、側臥位の順で高くなる。
・1St内-外旋では変化はほとんどないが、2Nd内-外旋では圧は著明に変化。
・内旋に伴い上昇し、外旋では圧は上がらず肩峰下圧はほとんど変化しなかった。

肩関節周囲炎で夜間痛があり、挙上30°以内、60°以上、2nd内旋で痛みが生じ、30°前後で痛みが軽減すれば、肩峰下滑液包の影響が考えられる。
肩峰の加齢的変化による変形や不良動作の繰り返しによるインピンジメントが影響しているかもしれない。
肩峰下滑液包への注射は効果的で、あんまり頑張ってリハビリしないで三角巾などによる安静が出来れば望ましい。
 
参考文献

・千葉慎一:腱板断裂に対する理学療法肩関節傷害 診療の真髄MB Med Reha157、2013.

・立花孝:肩関節に対する理学療法の新展開、理学療法学39(8)、2012

高濱照:関節病態の評価に不可欠な動的解剖、理学療法学37(4)、2010.

・高浜照:肩の機能解剖と触診のポイント、理学療法学30(4)2003.
・診断-治療に必要な機能解剖、関節外科9、2003.
・立花孝:肩関節周囲炎に対する理学療法の再考、理学療法学30(4)2003.
・拘縮を主体とする障害に対する理学療法、Med Reha 17、2002.

・岩掘祐介:整形外科からみた痛みのリハビリテーション