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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.変形性膝関節症の体幹機能-Draw-in時の側腹筋厚変化率

【0724:変形性膝関節症の体幹機能-Draw-in時の側腹筋厚変化率-、水島健太郎、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】

 

<対象>

1)膝OA群

・変形性膝関節症23例(男性3例、女性20例、平均年齢68歳)

2)健常群

・健常者16例(男性3例、女性13例、平均年齢64歳)

 

体幹機能評価>

・直立座位でDraw-inを3回行ってもらい、安静時側腹筋厚とDraw-in時側腹筋厚の平均変化率にて評価。

 

<結果:膝OA群/健常群>

①外腹斜筋    :115.2±6.2%/129.2±13.8%

②内腹斜筋    :113.0±4.0%/137.1±22.0%

③腹横筋     :121.5±7.1%/156.1±29.7%

④側腹筋(①②③):116.5±3.5%/141.1±16.5%

・全ての項目で膝OA群は健常群に比べ低値を示した。

・側腹筋厚変化率と膝関節裂隙幅に正の相関。

・側腹筋厚変化率と膝伸展可動域に負の相関。

 

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膝OAでは、内-外腹斜筋、腹横筋の機能不全があり、膝関節裂隙幅や膝伸展角度と関係があるのは興味深い所です。


骨盤の安定性が得られないと身体重心の位置が遊脚側に変位し、身体重心と膝関節の距離が大きくなり、膝関節に生じる外部膝内反モーメントが大きくなるという報告もあます。

膝OAでは、抗重力位で体幹や骨盤を支持する能力が低下し、重心の動揺が大きくなることが膝への負担を高めていることが考えられます。

 

参考文献

東谷年記:変形性膝関節症患者に対するEBPT実践への取り組み、理学療法25(3)、2008.