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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.BDNF:脳由来神経栄養因子

【BDNF:脳由来神経栄養因子

 

<特徴>
神経細胞によって産生される成長因子(液性タンパク質)。
・神経組織での発現が著しいが、筋肉でも産生(Matthews-2009)。
・脳血管関門を通過することができる。
シナプスの近くの貯蔵庫に蓄えられ、血流が盛んになると放出される。
・海馬に多く含まれ、加齢に伴い減少し、海馬の萎縮と関連。

 

<機能>
神経細胞の生存、成長、シナプスの機能亢進などの神経細胞の成長を調節。
神経細胞の分化、生存、記憶などの認知機能に重要な役割。
ニューロンの回路の構築、維持、成長。
コルチゾールの攻撃からニューロンを守る。
セロトニンノルアドレナリンドーパミンを増やす。
・不安を駆逐するのに欠かせない因子。
・学習効率に効果

 

<疾患>
神経変性疾患(痴呆、パーキンソン病など)、うつ病に対する予防効果。
・肥満、糖尿病マウス→食欲を抑え、血糖コントロールを改善。
うつ病患者のBDNF値は、全員が正常値を下回っていた。
 →BDNF値が高くなるとうつの症状が減った。


<運動>
・血中BDNF濃度が増加(Gold-2003、Zoladz-2008)。
 
<運動>
○1年間の有酸素運動(2013-島田)
 →高BDNF値、海馬容量の増加、脳容量の増大など 
△中等度の有酸素運動(合田-2013)
 →10名中5名で血清BDNFが増加。
 →運動前後のBDNF量に有意な差はなし。
 →BDNF変化量と交感神経指標の変化の相関はなし。
△自転車エルゴメータ30分(渡辺-2010)
 →運動10分後で平均値は増加したが、有意な上昇はなし。
トレッドミル訓練(Ying-2005)
 →BDNFの脊髄内の発現が増加。
 →BDNF発現量は訓練量と比例関係。


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脳や身体のためにも、週に2回くらいは有酸素運動をする機会をつくりたいものです。

 

参考文献
・島田裕之:加齢に伴う生体機能の変化を追う、理学療法学40(3)、2013.

・合田明生:運動が認知機能低下を予防するメカニズムの探索、理学療法学40(2)、2013.
・渡辺圭一:運動の筋肉由来内分泌因子分泌に対する影響、運動・物理療法21(3)、2010
・J. Ratey、Eric Hagerman:脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方、2009