.環軸椎回旋位固定に対する理学療法アプローチの一考察
<環軸椎回旋位固定:atlantoaxial rotatory fixation:AARF>
・環軸関節が回旋変形した位置で固定され有痛性斜頸を呈する疾患。
・1977年Fieldingらにより提唱。
・好発年齢は小児から学童期。
・軽微な外傷や上気道感染、口腔-咽頭などの手術を契機に発症。
・装具や牽引により比較的容易に整復される。
・再発を繰り返したり整復不能な場合は厳重な保存療法や手術療法を要する。
※古矢丈雄ら:環軸椎回旋位固定の病態と治療、千葉医学85、2009より引用
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【1049: 環軸椎回旋位固定に対する理学療法アプローチの一考察、西川正一郎、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】
<症例>
・10歳女児(49kg)。
・誘因無く左回旋位から動かなくなり、他院受診するが変化無く発症17日目に当院受診、AARFと診断。
・頭頚部は左回旋位45度位、cock robin position。
・頚部の自動運動は頚部筋群に疼痛が出現。
<治療方針>
1)Glisson牽引
・4kgから開始。
・牽引時間は原則食事・シャワー浴以外は持続牽引を行い1日トータル20時間以上を目標とした。
2)関節可動域訓練
・第3~7頚椎棘突起を中間位とし て保持し、対側へ軸椎が動くよう自動介助運動で回旋運動を行った。
<結果:環軸椎の捻転差(CT画像)>
・牽引開始時 :34.5度
・開始 4日目:33.6度→疼痛軽減、回旋15度/15度
・開始13日目:23.5度→従重力位で自動介助運動開始。
・開始20日目:20.2度→牽引5kg。
・開始25日目:11.8度
・開始28日目: 6.4度→回旋65度/60度。
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肘内障と同じような病態といえるでしょうか。
クリニックだと1年に1名程度の頻度で受診があります(肘内障の1/4程度)。
装具で数日後に軽快している場合がほとんどです。