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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

1時間のランニングは血中CXCL-1レベルを上昇させる

【1552: 1時間のランニングは血中CXCL-1レベルを上昇させる、小川真輝、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】


<CXCL-1>

・骨格筋から分泌されるサイトカイン(マイオカイン)のひとつ。

・骨格筋の収縮によって血液中へ分泌され、血流を介して全身に運ばれ、糖代謝、脂質代謝などに関与。

・組織損傷、感染性疾患への罹患時に線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、単球などから産生。

・好中球などの白血球系細胞の走化性を惹起し、血管新生や炎症の形成、創傷治癒などに関与。

・骨格筋からも発現し、運動後に血中レベルが上昇し、糖代謝や脂肪分解に寄与(マウス)。


<被検者>

・健常者10名(平均年齢63.7±4.0歳)。

・除外基準:糖尿病の既往、心疾患、骨関節疾患、炎症性疾患を有する者。


<方法>

・VO2maxの70%の負荷量でトレッドミル上で1時間の走行を行った。


<結果>

1)血中CXCL-1濃度:

・安静時と比較して運動終了直後に有意に上昇。

・終了1時間後でも上昇は維持し、終了2時間で安静レベルへ戻った。

2)血中IL-6濃度

・安静時と比較して運動終了直後に有意に上昇。

・終了1時間後、終了2時間後、終了3時間後でも上昇を維持。

3)血中TNF-α濃度

・変化なし。

4)白血球、好中球、単球、リンパ球数

・運動終了後に有意な上昇。,

・好中球は終了3時間後まで上昇を維持。

5)ヘマトクリット

 ・安静時と比較して運動終了直後に上昇し、終了後1時間で安静レベルに戻った。

 

<考察:CXCL-1が上昇した要因>

・TNF-αの上昇を認めなかったため炎症によるものではないと考えられる。

・IL-6とは上昇している時間に差があり関連性は低いと考えられる。

ヘマトクリット値の上昇も一過性のため、血液濃縮の関与の可能性も低いと考えられる。

・骨格筋の収縮が運動後の上昇に作用した可能性が考えられる。


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とりあえず、平均年齢63歳の被験者にVO2maxの70%のトレッドミル走行1時間はすごい。

【運動の筋肉由来内分泌因子分泌に対する影響】