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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病

【オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病】

 

オスグッド・シュラッター病は、成長期のスポーツ障害で、身長最大発育量年齢の前後1~2年で、大腿四頭筋の牽引刺激により発症するとされています。

 

大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、下腿三頭筋、膝蓋下脂肪体の硬さなどが報告されています。

 

発症要因としては、力学的成因の影響が大きく、身体重心(上半身質量中心)の後方化による運動時の膝関節伸展モーメントの増大により、大腿四頭筋に張力がかかり付着部である脛骨粗面に負荷がかかると考えられます。

 

この、上半身質量中心の後方化は、足背屈制限、股関節屈曲制限、骨盤後傾-腰椎後彎などの影響が考えられます。

 

ランニングやジャンプ着地などのスポーツ動作で、足-股関節の動きが悪かったり、姿勢が悪いことなどで、膝に負担がかかるということです。

 

よく原因とされる大腿四頭筋の硬さは結果といえるので、そこの硬さをとっても足-股関節の可動性が低かったり、姿勢がわるかったり、動作がうまくなければ再発してしまいます。

 

また、大腿四頭筋のストレッチをしても、うまく行わないと患部を引っ張っているだけで逆効果になってしまいます(テニス肘のストレッチも同様)。

 

そして、大腿四頭筋が硬くない症例もかなりの頻度で存在します。

 

ですので、問題点へのアプローチとしては、運動時の膝関節伸展モーメントを軽減することが必要になります。

 

膝関節伸展モーメントが増大する身体的要因としては、足背屈制限、股関節屈曲制限、骨盤後傾-腰椎後彎などが挙げられますが、これもよくよく追っかけてみると成長期によるtightnessの影響が大きい場合があります(ハムストリングスtightnessの影響による骨盤後傾→不良姿勢など)。

 

経過としては、スポーツ休止により良好な成績が得られるので、早い時期に休む余裕が必要かもしれません。

・初期から進行期までにスポーツ活動を4~6週間休止させた場合、90.1%がスポーツに復帰でき、ossicle(小骨)を形成せずに骨性の修復がなされた(平野-1998)。

・118名中の88.1%が安静保存で良好となり、ossicleを形成した14例が摘出術を受けた(Mital-1980)

 

錦織圭も痛いときにはしっかりと休みます。

 

参考文献

・林典雄:膝関節疾患における超音波診断装置の臨床応用、理学療法学40(3)、2013.

・菅原誠:脛骨粗面骨端炎の病態と整形外科的治療、理学療法25(1)、2008.

・福井勉:膝関節疾患の動作分析、理学療法学18(3)、2003.