捻挫に対する鍼治療の効果
サッカー選手より「捻挫に針ってどうなんですかねぇ!?」というメールがあったので少し調べてみました。
急性期の圧痛、腫脹、熱感、歩行障害、練習状況が改善
(Meguriya-1995)
※研究デザインは不明。
目的は、炎症症状と不安定性の改善。
※まずは、RICE処理を行うとしている。
Rest:安静
Ice:冷却
Compression:圧迫
Elevation:挙上
緩解期には、足関節周囲筋の筋緊張緩和を目的として低周波鍼通電療法を行う。
<鍼通電刺激の効果>
・ラットを用いた基礎研究では、抗炎症作用と痛覚過敏を抑制する働きがあった。(Lao-2004、Zhang-2005)
・ラットの足関節捻挫モデルに鍼通電刺激を行い、2Hzでは鎮痛と浮腫抑制、100Hzでは鎮痛のみの効果があった。(Hahm-2007)
・足関節炎症モデルに対する2Hzの鍼通電刺激によって炎症性浮腫が抑制された(Park-2006)
・鍼通電刺激により血漿CRHと血漿 ACTH濃度が上昇することで、浮腫を抑制する(Li-2008)
・足関節捻挫に対する100Hzと2Hzの混合刺激を行うと鎮痛により患側への荷重量が増加した。内因性オピオイドを介さない鎮痛効果の発現が考えられるとしている(Koo-2002)
・鍼刺激による鎮痛は内因性オピオイドにより発現するとの報告もある(Chen-1996、Mayer-2000)
※鍼通電の場合は、鍼の効果?電気の効果?
<鍼の鎮痛効果の仮説>
1)内因性オピオイド
生体内にあるモルヒネ様の作用をもつペブチドの総称。鍼刺激により内因性オピオイドが放出されることにより、鎮痛効果が生じるとされる。
2)ゲートコントール説
鍼の刺激により、痛みをブロックすることで鎮痛が得られるとされる。
3)プラセボ効果
まずは、RICE処理ですね。
<参考・引用>
・宮本俊和ら:スポーツ分野における鍼治療のエビデンス、臨床スポーツ医学27(6)、2010.
・吉田成仁:スポーツ外傷に対する鍼治療の効果、臨床スポーツ医学27(6)、2010.
・代替医療のトリック