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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

有酸素運動の効果1)

有酸素運動には様々な効果があり、
身体はもちろん脳にも効果があります。


<脳機能の維持、改善>

神経可塑性の増強、海馬依存性の学習-記憶の向上
 (2004-Farmer、2005-Praag)。

・実行機能、視空間認知、応答速度、統制処理に効果がある
 (2003-Colcombe)。

前頭葉や側頭葉で灰白質の萎縮が抑えられる(2003-Colcombe)。

・海馬の神経新生が2倍増加し、海馬依存性の学習が向上
 (1999-Praag)。



脳梗塞

脳梗塞後に運動療法を行うと、障害を受けた機能の回復が早まる(2008-Dobkin)。



神経変性疾患

・アルツハマー病、パーキンソン病ハンチントン病、ALSなどの
 神経変性疾患の進行を防ぐ(2008-有働)。

・1回15分以上を週3回以上1年間続けていた高齢者は、
 そうでない高齢者に比べて認知能力が高く、
 アルツハイマー認知症の発症が35%抑えられていた
 (2006-Larson)。

アルツハイマー病のモデルマウスでは、回し運動により
 アミロイドβタンパク質の分解が促進され、
 海馬依存性の学習が改善された(2005-Adlard)。

ハンチントン病のモデルマウスでは、
 運動協調性や空間学習の低下が抑制された(2006-Pang)。



<神経損傷>

・神経損傷による慢性痛モデル動物への
 トレッドミル運動負荷が痛みを軽減。
 その減弱と脊髄神経後根節および
 脊髄内で増加した神経栄養因子との量に相関が見られた
(2004-Hutchnson)。



そして、「ガン」や「鬱病」にも効果あり。

<大腸がん>

・運動負荷は大腸がんのごく初期段階から抑制効果を示す
 (2007-Fuku)。

・マウスによるトレッドミル負荷試験で腸管腫瘍が減少(2000-Colbert)。



うつ病

動物実験では、学習性無力感や絶望感が有意に抑制
 (2003-Greenwood)。

・1日30分の歩行運動を10日間行うと、
 観察者と被験者双方の評価において症状の改善が見られた
 (2001-Dimeo)。



有酸素運動大事ですね。





参考・引用

太田雅規ら:高血圧と運動療法-NO、酸化ストレスのバランスに着目して、臨床スポーツ医学25(10)、2008.

中島淳ら:生活習慣とがん、臨床スポーツ医学25(10)、2008.

川中健太郎:運動によるインスリン抵抗性の改善、臨床スポーツ医学25(10)、2008.

有働洋ら:運動が脳機能に与える効果、臨床スポーツ医学25(10)、2008.

森本温子ら:痛み系と運動系のつながりからみた運動療法の可能性理学療法25(10)、2008.